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Sur un sommet d'un cocon du minuit...
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『プリティ・ベビー』

►2008/07/22 18:26 

『プリティ・ベビー』 1979年 アメリカ 監督:ルイ・マル



【 STORY 】
 1910年代のニューオーリンズ。大きな赤線地区にある高級娼館で生まれ育った、娼婦の娘・ヴァイオレットは、娼婦の写真を撮りに訪れた写真家・べロックと出会う。
 決して娼婦を買おうとはせず、ただ写真を撮り続けるベロックに興味を持つヴァイオレット。やがてヴァイオレットの処女は400ドルで競り落とされ、“一人前の娼婦”としての生活が始まり、母親はヴァイオレットを「妹だ」と偽ったまま客と結婚し、ヴァイオレットを置いてセントルイスに旅立ってしまう。
 そんなある日、娼館の女主人に折檻されたヴァイオレットは、その仕打ちに憤慨して、ベロックの家に押しかけるのだった――


 フランスの巨匠ルイ・マルのアメリカ進出後初監督作品。
 STORYの字面だけを追うと、悲痛でセンチメンタリズムに彩られた退廃的な映画を想像しますが、映画全体からは大らかで朗らかな印象すら受けました。
 映像と音楽、どこかルノワールの風俗画のようですらある娼館の佇まい、男女の性を熟知していながらも純真無垢なヴァイオレットの様子には、もちろん愛惜が漂って美しいのですが、観ていて、痛ましさよりは舞台である娼館へのノスタルジックな憧れが募る映画でした。
 ルイ・マルが意図したのはロリータイズムの感傷ではなかったかも知れませんが。観る方次第で様々に形を変える映画でもある、と思います。
 ブルック・シールズ演じるヴァイオレットの奔放で気紛れな無垢さによる残酷さも、実にリアリティのある「少女」なのですが、これが「まとまりがなく焦点が定まらない」と感じられる方も多いでしょうし、「そこが敢えての問題提起なのだ」と受け取ることも出来るでしょう。
 少女と、少女と愛し合った大人の男との間には、この映画のような別れが必ず用意されていて、ナボコフの『ロリータ』やサラ・ムーンの『ミシシッピー・ワン』(ロリータの恋愛物、ではないのですが)のラストシーンも思い出されました。
 少女と大人の男との恋愛には、ひとりで夢から覚めるように立ち去る少女の姿が欲しい。秀逸なラストシーン。

 それにつけても、この映画、今ではもう撮れませんよね。当時も大変センセーショナルだったでしょうけれど。

 1978年スティンカーズ最悪映画賞の、【最悪の主演女優】部門&【最も苛立たしいインチキな言葉づかい(女性)】部門に、ブルック・シールズがノミネートされたみたい…
 でも、ブルック・シールズの美しさと奔放さが非常に素晴らしい映画ですよ〜。
 この後、ブルック・シールズの美貌はどんどんある種醜悪な方向に向かいますから、この映画の中に真空パック保存された一瞬の美の凄まじさも痛感するのです。

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 あんまり部屋を好きに飾れなくてしょんぼりなんだけど、壁の一部分だけ、ちょこっと飾ることにしました
 化粧品や愛犬のおやつ(笑)を仕舞っている棚の上に、友人から頂いた絵やコースター(手作り!)やネックレスを留めて…。

gala-mo.jpg 飾れるのはここだけでも、嬉しい



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拍手お礼

►2008/07/15 16:15 

『Pur nuit』内web拍手――
・7月11日20時の方、
・7月12日3時の方、
・7月13日20時tomoさん(楽しんでもらえて嬉しいです)、
・7月14日6時の方、
・7月14日23時の方、

ブログ内拍手――
・7月11日の方、

キラキラ  ありがとうございました キラキラ

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少女の彷徨2 『闇のバイブル 聖少女の詩』

►2008/07/15 15:57 

『闇のバイブル』 1969年 チェコスロヴァキア 監督:ヤロミール・イレシュ




 この映画、ずっと観たくてレンタル店・ネットレンタルを探し回っていたのですが、灯台下暗し、義妹のおうちにありました(Mちゃんありがとう)。

 13才のヴァレリエは祖母に育てられた好奇心旺盛な美少女。ある夜、庭を歩いている最中に初潮を迎えたヴァレリエの前に、謎の宣教師や不思議な青年が現れ、町には吸血鬼が跋扈してゆく。
 初潮をきっかけに性に慄きながら憧れる少女の夢や妄想、或いは外部・内部両方からの性的誘惑の暗示、とも言える迷宮的イメージが綴られてゆくのですが、理屈付けて観てもただただ画面に見蕩れるだけでも、どうとでも愉しめる映画だと思う。
 理路整然としたお話と辻褄の合った演出の映画でないと辛い、という方にはまったくお勧め出来ないのは確かなのですが、たいへんに素敵で好きな世界でした。
 ゴスロリのバイブル、とも評されているようですが、確かにゴシック様式美に彩られた画面は隅々までフェティッシュに美しく可愛らしい。
 主演のヤロスラヴァ・シャレロヴァは“絶世の美少女”というタイプではなく、実に日本人受けする素朴で愛らしいファニーフェイスです。彼女の無垢で好奇心いっぱいの表情と動作を、これでもかと拘りぬいた演出・構図で捉え続けるカメラワークがたまらなく好い。
 町並みも建物も家具も小物も犬や鳥や光も、すべて「少女をもっとも絵になる構図に配置する」ことだけに腐心して配置されている、と、断言してしまっていいかと…。
 ヴァレリエが彷徨う小さな町は、その牧歌的に閉鎖された狭さゆえに白日夢の様相を増してゆきます。それは目覚めたくない・目覚めるともう一度追いかけたくて眠ろうと試みてしまう類の悪夢にも似ていて、心地好い。

 惜しむらくは、この映画の邦題もまた、昨日書いた『白夜の時を越えて』同様、作品の本質とかけ離れたイメージを押し付けて来ること。『闇のバイブル 聖少女の詩』なんていうと、なんとも暗くて鬱屈していそう…個人的にはそういう映画も大好きですが、この映画とは違います。原題は『VALERY'S WEEK OF WONDERS』――ヴァレリエの不思議な一週間! 原題でいいじゃん…。
 性を謳歌するパラダイス的ラストシーンといい、全編に流れる奇妙でいてあっけらかんと突き抜けた雰囲気といい(白塗りのヴァンパイアがすっごく怖いにも関わらず!)、たびたび好奇心の方が勝ってしまうヴァレリエの少女らしさといい、まさしく『ヴァレリエの不思議な一週間』です。

 ロリータを描いたチェコスロヴァキアの映画って、とんでもなく素敵な快(怪)作が多い。また、70'Sを目前にした1960年代後半というのも、70'Sとは違った趣での快作が多いと思うのです。

 本作に登場する白塗り禿頭の吸血鬼には、『吸血鬼ノスフェラトゥ』を思い出したのですが、こちらはものすごく怖かった。モノクロ・サイレントの効果絶大な1922年版も、イザベル・アジャー二をヒロインにリメイクされた『ノスフェラトゥ』も、甲乙つけ難く恐ろしくて悲しくて、良かったな。



吸血鬼ノスフェラトゥ1922年版
『吸血鬼ノスフェラトゥ』1922年版


ノスフェラトゥ
『ノスフェラトゥ』


 吸血鬼映画はより古典的なものが好きなのですが、もう一度観てみたい作品のひとつに、ロジェ・ヴァディム監督の『血とバラ』があります。こちらは1960年のフランス映画。10代の頃、確か深夜のTV放送で観たきりなんだけど、その映像美とエロティシズムが忘れられないのです。『吸血鬼カーミラ』を原作にした、非常に耽美でいて斬新な映画でした。憑依によるヒロインの吸血鬼化、全編モノクロームの中に血の赤だけが浮き上がる衝撃的な美、美しい女優陣、レズビアンシーンの妖しさなど、当時、なんの前知識もなく観て息苦しいほどどきどきしたのです。これこそ、DVDがどこにもないのが悲しい…。

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ゴスBOX 『チェコ怪奇骨董幻想箱 vol.1 ゴスBOX』


リプスキーBOX 『チェコ怪奇骨董幻想箱 vol.2 リプスキーBOX』


ヌーベルヴァーグ & ニューウェイヴBOX 『チェコ怪奇骨董幻想箱 vol.3 ヌーベルヴァーグ & ニューウェイヴBOX』


 『闇のバイブル〜』は『チェコ怪奇骨董幻想箱 vol.1 GOTH-BOX』収録なのですが、このBOX、vol.3まで出ているみたいで、どれも観たい


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少女の彷徨 『白夜の時を越えて』

►2008/07/14 18:03 

『白夜の時を越えて』 1998年 フィンランド 監督:ピルヨ・ホンカサロ
* 公式サイト→http://www.uplink.co.jp/film/byakuya/ *



 原題は『FIRE-EATER』―「火を食べる奇術師」―この方がはるかに良いのが残念。邦題だと、たいそうタイトルから受けるイメージが異なると思うのです…なんかファンタジック過ぎる…よね?
 女流監督・ピルヨはこの映画について、「ある世代から次世代へと引き継がれる“枷”をテーマにしています。また愛情と別離を描いた作品でもあります」と語っている。確かに、この映画に登場する少女は息づまるほどの“枷”を生きている。

 【 STORY 】
 双子の姉妹、ヘレナとイレネは、第二次世界大戦の終わりヘルシンキで生まれた。母親は生後間もない二人を置いて男(ナチの軍人)と出奔する。祖母に育てられる姉妹。幼い頃からイレネは歌にも踊りにも才能があり、内気なヘレナはイレネの影に隠れるように育つ。
 やがて祖母も亡くなり養護施設に入った二人の前に、母親が出奔相手とは別の男を伴って訪れた。男・ラモンはサーカスのブランコ乗りで、ヘレナとイレネをサーカスの一員として引き取りに来たのだ。
 サーカス小屋で幼女から少女へと成長する双子。イレネは美しい空中ブランコ乗りに成長し、一座のスターとなるが、ヘレナは相変わらずイレネの影に隠れてイレネを世話し、支える生活だった。
 ヘレナに母親は言う。「才能のない者は才能ある者の下僕」だと。二人でイレネを支えて行こう、と。
 そんなある日、イレネはブランコから転落してしまい、心に傷を負う――。


 映画は、大人になったヘレナがかつて住んでいたアパートを訪れ、父親の飲み代の為に酒場で歌う少女と出会うところから始まる。少女の姿にかつての自分を回想してゆくヘレナの、現在と過去が交互に描かれてゆくのだが、現在のパートはあるたった一夜のモノクロームで、双子の生い立ちから自立までの年数を追った過去のパートはかすかに金色がかった(ように、私には見えていった)カラーで描かれてゆく。
 物語は明確に語られることはほぼなく、登場人物たちも多くは語らない。主人公のヘレナですら、否、ヘレナが誰よりも寡黙で、イレネの事故まではイレネ以外とは口をきくことを拒んでいるかのようだ。しかし、この映画は難解ではない。注意ぶかく画面を追っていれば、物語が、双子の少女が、母親や世界が、どこからどこへ歩いてゆくのかよく分かる。
 そぎ落とされ研ぎ澄まされた最低限の言葉と美しい音楽、寒々としたフィンランドの景色、対照的な双子の少女がまるで恋人どうしのように身を寄せ合って呼吸する姿、が、非常に丁寧に織り上げられてゆく画面は、どんなに膨大なテキストよりも饒舌だった。
 ヘレナとイレネの少女時代を演じる二人の女優がまたすばらしいので、彼女たちの大仰ではない表情からも多くの感情がこちらの胸に染みこんで来るのです。
 ここまで丁寧に少女の脆さと強さを共存させて描いた映画も、なかなかないかも知れない。
 多くの視聴者にとって嫌悪感を抱かせるであろう母親の奔放さも、私には魅力的で憎めなく感じられた。サーカス小屋での生活の中、少なくとも母親は娘たちを愛していたことだけは間違いない。確かにそもそも姉妹を捨てて行ったし、ラモンは体の柔らかいイレネしか要らないと言った。この母親のだらしなさは思春期の少女には過酷なのも間違いない。でも、「イレネを二人で支えていこう」「二人で一人になろう」という母親の台詞はヘレナにはどれほどの甘美だったろう。だからこそヘレナは必死だったのだろうし、三人が過ごす短い年月は私にはある種のパラダイスにも写った。
 “正しい母親として”は娘たちを守り支えることの出来なかった母親から、ヘレナが旅立ってゆくシーンにも、ヘレナとイレネの最後のシーンにも、悲しい慈愛が溢れている。
 枷というのは、愛情と愛着を抱けない相手には持ち得ない強い絆でもあるだろう。憎しみや苛立ちや歯痒さも、愛情が存在しないところには生まれない。だから、枷が甲斐のないものに変わってしまうまで、枷がただ枷でしかなくなるまで、そこに留まってしまう。
 フィンランドの薄暗い空と凍った風景の寂しさが心地好かった。

 サーカスもしくは大道芸と少女を描いた映画には、素敵な作品が多い。
 フェリーニの『道』は実は未見なのですが(まあ!)、『ロザリンとライオン』『サンタ・サングレ』『橋の上の娘』(ルコント監督の恋愛物、苦手なんだけどこれはOK)ちょっと違うけど、『まぼろしの市街戦』もサーカスへのオマージュがあると思うの。

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『 pur nuit』更新情報と拍手お礼♥ &『ガラスの墓標』

►2008/07/10 16:39 

 夏です。関東はまだ梅雨明けしていませんが、北海道生まれの私にとっては疾うに夏本番です。
 今年も早くも夏バテして来て、くらくら目眩がする毎日。たっぷり眠ってしまうので、一日がとても早く終わってしまいます。秋が来るまではこうしてやり過ごすほかありません。
 北海道の幼馴染みからの頼りや実家の母からの電話からは、爽やかにからりと澄んだ北海道の夏の空が漂ってくるようです。北海道には梅雨がなく、ふつうに暮らしていれば湿気や黴とは縁遠いものです。羨ましい…。
 昔は夏も大好きだった。真っ直ぐで広い道をどこまでもどこまでもドライブする心地好さが恋しい、そういう季節。今は、クーラーが愛しくて、なかなかエコな生活が送れません。夏はお店も公共機関もみんなで昼夜逆転するって、無理でしょうかね?(真夏大好き、な方々を無視しています)

 気が早いですが、サイト『Pur nuit』のTOPを海の写真に模様替えし(昔、石狩浜で撮った波打ち際)、ギャラリーに暑中御見舞いフリー画像をUPしました(昨年、実家の富良野で撮った空)。気分だけでも爽やかにする悪足掻き
 みなさんも、夏バテにお気をつけて(とにかく気が早いです)。


拍手お礼

『Pur nuit』web拍手――
・6月30日6時の方、
・7月4日16時の方、
・7月6日17時の方、
・7月8日15時の方、

ブログ拍手――
・7月3日の方、

ありがとうございました


昨夜観た映画↓

>> ReadMore
セルジュ・ゲンズブール&ジェーン・バーキン主演 『ガラスの墓標』 1969年仏=伊=西独



 観たいなあ、と思っていたものの、ずっと未見だった映画。原題は『大麻』。
 『スローガン』で恋に落ち同棲中だったセルジュ・ゲンズブールとジェーン・バーキンの共演、とのことで、確かに『スローガン』よりも二人のシーンが非常にエロティックです。しかも、この時のジェーンはシャルロットを妊娠中だったとか。
 NYマフィアの殺し屋でロシア系のセルジュは、麻薬組織の工場壊滅を命令されてパリに渡る。が、到着早々負傷したセルジュは、飛行機の中で知り合った美しい娘・ジェーンの屋敷に匿われて愛の日々を送る。やがてセルジュの相棒・ポールが合流するが―という、なんともツッコミどころ満載なSTORYの筋は、あるんだかないんだか、なのですが。
 この映画の肝はSTORYを追うことには無いので。
 全編に流れるセルジュ・ゲンズブールの音楽が素晴らしく心地好く、ジェーン・バーキンの裸体・ファッションと伏し目があまりにも素敵。
 序盤、細長い指で煙草(ジタンだよね?)を弄ぶセルジュの仕種の色気に見蕩れてしまいました。
 思いがけなくゲイ映画でもあり(と、乱暴に断言しますが)、ラストの疾走とジェーンの悲鳴で断ち切られるエンディングとの緊迫した美学が、この映画のすべてだったように思う。
 セルジュの相棒・ポールが登場してからの画面の重苦しさが気持ちよくて、これは予想外でした。アクションシーンはサービス過剰なくらいでなくちゃね、という方にはまったくおすすめ出来ないのですが、オペラ座でのアクション(?)シーンは、「この映画はセルジュとジェーンを美しく描くのを見ていればいいんだろう」と思ってゆるゆる観ていた不意をつかれ、ちょっと感動するほど美しかった。
 ジェーンとセルジュの姿よりも、束縛したいものを束縛したいと足掻くジェーンとポールのみっともないくらい必死な姿が良かったなあ。
 おしゃれ映画のつもりで観て、ちょっとした裏切りに嬉しくなった一作。
 気だるく渋い主題歌『キャナビス』も必聴。


 
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Lolita 少女映画偏愛

►2008/07/01 23:50 

 私は自分自身が「少女」と呼ばわれる年齢だった頃から、少女を描いた映画を偏愛していました。その愉しみ方は、まさに「偏愛」と表現するに相応しかったと思う。

 いちばん最初に衝撃を受けた映画は、原田知世主演の『時をかける少女』――あくまでも、原田知世主演・大林宣彦監督。原作でも、近年話題になったアニメでもなく。
 公開当時、原田知世自身と原田知世演じるヒロイン・芳山和子よりも年下だった少女の身で、私は芳山和子と原田知世に深い懐古的憧憬を抱き、その後何度も何度も繰り返して観続けることになる。
 私は芳山和子ないし原田知世のような少女になりたいと願ったわけでも、『時をかける少女』に描かれていたような恋愛に憧れたわけでも、ない。
 自分自身が“美”はつかないながらも“少女”でありながら、原田知世という稀有な少女のかたちを借りることによって映画の中に奇跡的なフォルムで抽出され真空パックされた“少女”のデフォルメ(déformer 仏語 特に美術において、対象を変形させて表現すること)に対してノスタルジーを覚えたのだ。
 少女性への懐古的憧憬というのは、自分にとって未知であるはずなのに、映画の中で心的イメージを蓄積させたのだと思う。
 まったく、今ふりかえってみても、当時の私はおっさんみたいでした。原田知世(女の子)目線よりは大林監督目線(大人。ロリータコンプレックス、といって差し支えないかと…)に限り無く近い感情で『時をかける少女』に心酔していたのだから。
 “少女性”とは、なにも実年齢と肉体が実際に少女=若い女の子、でなくともいい、とも、思っている。それは年齢を重ねたおんなの中にも、大人のおとこの中にも、あるいは少年の中にも、存在しうるある感情・状態をあらわす言葉だ、と。“少年”に惹かれるひとにとっては“少年性”であってもいい。ひとりひとりの抱く少女性ないし少年性の定義には大きな隔たりがあるだろうけれど、それは一定のかたちやきまりを持っていなくたって、いっこう構わないのだ。自分の中にさえ在ればいい。



時をかける少女
『時をかける少女』 1983年.邦画


 この映画でロリータコンプレックスの洗礼を受け、以後、ロリータを描いた映画をそれこそ偏愛するようになるわけです。

 デビット・ハミルトンのロリータ映画まで観て、いちばん好きなロリータ映画はセルジュ・ゲンズブールの偉大なる駄作(大賛辞です、念のため)『シャルロット・フォーエヴァー』だったり、するのですが…。

 


 最近、改めてニューマスター版も鑑賞。よりはっきりと明るい画面で観直すセルジュ・ゲンズブールの親馬鹿ぶり、だめおやじぶり、色気に脱帽。
 物語の破綻だとか露悪的な台詞・画面の連続だとか、は、まったく気にならなくて、私にはこの映画の中の時間を止めてしまいたい、と感じられるほど心地好い空間だった(退屈な方、苦手な方には、耐え難いと思いますが)。その印象は初めて観た時と変わらなかったが、ニューマスター版は画面がなにもかもくっきりと目に見え過ぎる。見え過ぎると面映い。
 『シャルロット・フォーエヴァー』は、薄暗い翳りの中に閉じ込められていた方が好い。

 ゲンズブールの遺作『スタン・ザ・フラッシャー』は悔しいことに未見。DVD未発売らしいですね…なんで?(いや、まあ、そうだろうけど…)

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